治験の後、ユウの瞳は鏡になった。
目を合わせた相手が最後に見た風景を、彼も見る。便利だと人は言った。失くし物を探し、事故の証言を確かめる。けれど誰も、自分の見たくないものまで映されるとは思わなかった。
ある午後、ユウは事務所で少女と向かい合った。少女はずっと靴の先を見ている。
「見ないで」と彼女は言った。
ユウは目を閉じた。能力を使わずに人のそばにいる方法を、まだ習っていなかったからだ。
窓ガラスに、街の灯りが一つずつともる。少女は話し始めなかった。それでよかった。ユウは見ないまま、最後までそこにいた。