ノアは橋の前で立ち止まった。
声が呼んでいる。けれど、誰かの記憶を自分のものにしてよいのか分からなかった。彼女は種を胸に抱き、庭のいちばん高い場所へ向かった。
大樹の枝の先に、星を返す籠がある。庭渡りはそこで、持ち主の分からない種を夜空へ送り出す。
籠に種を置くと、青い光が細くほどけた。
「まだ会えなくても、忘れないから」
空にひとつ星が戻った。橋は消えた。代わりに、見たことのない庭の輪郭が遠くに浮かび始めた。
ノアが橋を渡らず、種を夜空へ返したら。
ノアは橋の前で立ち止まった。
声が呼んでいる。けれど、誰かの記憶を自分のものにしてよいのか分からなかった。彼女は種を胸に抱き、庭のいちばん高い場所へ向かった。
大樹の枝の先に、星を返す籠がある。庭渡りはそこで、持ち主の分からない種を夜空へ送り出す。
籠に種を置くと、青い光が細くほどけた。
「まだ会えなくても、忘れないから」
空にひとつ星が戻った。橋は消えた。代わりに、見たことのない庭の輪郭が遠くに浮かび始めた。