庭に落ちていたのは、星のかけらだった。
ノアは両手でそれを拾い上げた。夜の名残のような青い光が、指の間からこぼれた。空の庭には、いつも誰かの忘れ物が流れ着く。けれど今日の種は、ノアの名前を知っていた。
「おかえり」
聞こえた声は、母の声に似ていた。ノアは母の顔を覚えていない。大樹の実を食べた日から、その記憶だけがなくなっていた。
庭の向こうに橋があった。昨日まではなかった橋だ。種を握ると、向こう岸の窓に明かりがともった。
渡れば思い出せるのだろうか。ノアは片足を橋にのせた。
少女が拾った種には、知らない人の記憶が眠っていた。
庭に落ちていたのは、星のかけらだった。
ノアは両手でそれを拾い上げた。夜の名残のような青い光が、指の間からこぼれた。空の庭には、いつも誰かの忘れ物が流れ着く。けれど今日の種は、ノアの名前を知っていた。
「おかえり」
聞こえた声は、母の声に似ていた。ノアは母の顔を覚えていない。大樹の実を食べた日から、その記憶だけがなくなっていた。
庭の向こうに橋があった。昨日まではなかった橋だ。種を握ると、向こう岸の窓に明かりがともった。
渡れば思い出せるのだろうか。ノアは片足を橋にのせた。