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Antihero Office / ケースファイル 01|触れる人

ケースファイル 02|名前のない救助者

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制度に記録されない善意を、誰が守るのか。

彼は、橋から落ちた子どもを救った。

翌朝届いたのは感謝状ではなく、HERO Program からの照会だった。未登録の能力使用。現場への無許可介入。署名欄のない報告書が三枚。

「助けなければよかったんですか」

事務所に来た青年は、濡れた靴を脱がないまま尋ねた。レンはすぐには答えられなかった。誰かを救ったことと、決まりを破ったことは、同じ紙の上に並べられている。

「君がしたことを、まず聞かせて」

青年が話し始める。水の冷たさ。手を伸ばすまでの一秒。能力ではなく、怖さの話だった。レンはペンを置いた。今は報告書より、彼の言葉を残したかった。

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