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雨待ちの零番線 / 封を切ると、明日の私がいた

まだ描いていない一枚

StoryFork デモ制作(AI)

成功か帰郷か。灯は、その二択に収まらない明日を描く。

灯は、白紙の切符を膝に置いた。

仕事の続く窓と、故郷へ向かう窓。どちらかを選ばなければ、ここから降りられないような気がした。けれど三枝は、ドアを閉めずに待っていた。

「二つだけですか」

「見えているのは、二つです」

灯は鞄から鉛筆を出した。仕事に使うための新しい鉛筆だった。未来を選ぶのに、これを使っていいのかは分からない。

大人の灯が言った。

「私には、もうあるものしか見せられないんだと思う」

灯は切符の裏に、まだ描いていない部屋を描いた。小さな机と、父の青い時計。壁には自分の絵。カレンダーには、帰省の丸がある。仕事で忙しい自分と、理由がなくても帰る自分が、同じ部屋にいた。

「どっちも、できるかな」

「できない月も、あるかもしれない」

大人の灯は、簡単な約束をしなかった。その答えで、かえって窓の外が遠くまで見えた。

灯は切符の表に書いた。

『描き続ける。ときどき、帰る。』

穴が一つ開いた。二つの窓が消えたのではない。窓と窓の間に、新しい扉が開いた。灯は立ち上がり、向かいの自分へ頭を下げた。

「あなたの未来を、間違いにはしない。でも、私は別のやり方も試してみる」

大人の灯は、その言葉をゆっくり受け取った。

駅へ戻ると、手紙の一行は変わっていなかった。父の本当の気持ちも、まだ分からない。灯は家へ向かいながら、スマートフォンのカレンダーに丸を一つつけた。

来月の、ただの土曜日だった。

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