港を出る朝、船長席は空いていた。
ミナは古い地図を広げた。海の真ん中に、小さな空白がある。誰も名前をつけていない場所だ。
「そこへ行こう」
誰が言ったのか、風に紛れて分からなかった。船の五人は、互いの名前さえまだ知らない。けれど全員が、同じ空白を見ていた。
岸では、港の人が手を振っている。ミナは振り返らなかった。家の窓に置いてきた灯りが、きっとまだ燃えている。
帆がふくらんだ。白鯨号は、誰の命令も待たずに動き始めた。
船長のいない船に、五人の旅人が集まった。
港を出る朝、船長席は空いていた。
ミナは古い地図を広げた。海の真ん中に、小さな空白がある。誰も名前をつけていない場所だ。
「そこへ行こう」
誰が言ったのか、風に紛れて分からなかった。船の五人は、互いの名前さえまだ知らない。けれど全員が、同じ空白を見ていた。
岸では、港の人が手を振っている。ミナは振り返らなかった。家の窓に置いてきた灯りが、きっとまだ燃えている。
帆がふくらんだ。白鯨号は、誰の命令も待たずに動き始めた。