ミナは帆を下ろすように頼んだ。
誰も反対しなかった。疲れた手でロープを結び、甲板に腰を下ろす。世界の空白を埋めることに、少し急ぎすぎていたのかもしれない。
鍋に残ったスープを温めた。名前を呼び合って器を渡した。海の音は、いつもより遠くに聞こえた。
「今日は、どこにも行かない日にしよう」
少年が言った。ミナは航海日誌に、その一文を書いた。地図には残らない一日が、五人のあいだに残った。
嵐の前に立ち止まることも、ひとつの航路だった。
ミナは帆を下ろすように頼んだ。
誰も反対しなかった。疲れた手でロープを結び、甲板に腰を下ろす。世界の空白を埋めることに、少し急ぎすぎていたのかもしれない。
鍋に残ったスープを温めた。名前を呼び合って器を渡した。海の音は、いつもより遠くに聞こえた。
「今日は、どこにも行かない日にしよう」
少年が言った。ミナは航海日誌に、その一文を書いた。地図には残らない一日が、五人のあいだに残った。