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碧の航路 / 嵐のまえの静けさ

帆を下ろす日

しおり

嵐の前に立ち止まることも、ひとつの航路だった。

ミナは帆を下ろすように頼んだ。

誰も反対しなかった。疲れた手でロープを結び、甲板に腰を下ろす。世界の空白を埋めることに、少し急ぎすぎていたのかもしれない。

鍋に残ったスープを温めた。名前を呼び合って器を渡した。海の音は、いつもより遠くに聞こえた。

「今日は、どこにも行かない日にしよう」

少年が言った。ミナは航海日誌に、その一文を書いた。地図には残らない一日が、五人のあいだに残った。

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