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碧の航路 / 霧の入り江で

島が覚えていた船

凪

島の古い記録に、白鯨号と同じ名前を見つける。

老人の家には、船の絵が百枚あった。

どれも白鯨号だった。帆の傷も、窓の数も同じだ。ただ、甲板に立つ人の顔は毎回違った。

「この船は、人を運ぶんじゃない。選ばれなかった航路を運ぶんだ」

老人は一枚の絵を裏返した。ミナに似た少女が、船長席に座っていた。

絵の下に日付がある。それは明日だった。

ミナは絵を壁に戻した。明日の自分がどこに立つかは、まだ決めていなかった。

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