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碧の航路 / 嵐のまえの静けさ

霧の入り江で

水瀬

霧の向こうに見えたのは、噂どおりの帰らずの島だった。

霧の中から鐘が鳴った。

ミナは耳を澄ませた。海流ではない。岸に立つ誰かが、船へ合図を送っている。

「帰れ」なのか、「おいで」なのか。鐘には言葉がない。白鯨号はゆっくりと入り江へ入った。

砂浜に一人の老人が立っていた。彼は船の名前を見て、帽子を脱いだ。

「やっと帰ってきた」

初めて訪れる島で、ミナはそう言われた。古い地図の空白に、雨で消えた文字が浮かび上がる。

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